逃げた花嫁 before the stage
スペシャル対談

今回は総合プロデューサー・監督の堀内さんとキャスティングプロデューサーの小野さんの対談にて「逃げた花嫁 before the stage」についてより詳しく掘り下げて頂きました。
本日は、後半を公開!
キャストの皆さんの知られざる裏側までたっぷり公開しちゃいます!

今回、「逃げた花嫁 before the stage」について色々とお伺いさせていただきます。
まず、今作を撮られた経緯は?

堀内博志(以下堀内):ALLDAYという新しい動画のプラットフォームを立ち上げることになり、その中で初めのコンテンツの一つとして、ドラマ作品を制作する事になりました。

そこでひとつアイデアがあり、男6人の群像劇を作りたいなと。

―どうしてこの題材に?

堀内:以前、他の企画のロケハンで今回使用したホールを見たことがあって、あの市民ホール的な劇場でお話を作れないかなと思ってた頃、コロナ禍で割と時間が出来て…結構本を読んでたんです。そこで昔、夢中になって読んでたアメリカの作家「ポールオースター」の作品を結構読んで。オースターの作品って劇中劇というか、作家が主人公でその彼が作品の中で作品を描いていて、その登場人物が・・・みたいな作風が多いんですよね。

今回、割とそんな感じに影響されてると思いますね(笑)

小野キャスティングP(以下小野):まさに「カズヤ」に当たりますね。

小野:最初、脚本を確認した出演者の皆さんが口を揃えて言っていたのが「時系列で読み解くのが一度じゃ難しいです。」でしたね。

それでも、何度か読むうちに「ああじゃないか…こうじゃないか…と」考察が生まれて、ある時にはっと繋がり一気にぐっと引き込まれましたと、皆さん言われてました。

堀内:近い過去と近い未来と現代(現代すら過去?)を同列に描いてるんで、ここは今どこなんだろう?と混乱すると思うんですけど、最終的にその繋がりが分かる時のカタルシスみたいなのは考えていました。

―今回、あて書きではなく脚本を作られてから俳優さんを決めましたよね?

堀内:そうですね、今回はそうでした。最近は俳優さんをい想定して書くことが多かったんですが、今回はまず自由に書いてみようと。
割と自分が面白いと思うものを、思うままに書きました。

―キャスティングについてお一人ずつどういった経緯で決められたかお伺い出来ますか?

小野:はい、今回監督から脚本があがってきて、監督のイメージや要望を聞きつつ相談をしながらキャスティングさせてもらました。

―カズヤ役のキャスティングについてお伺いします。

堀内:私的には、脚本の段階では結構文化系というか内向的な大人しいイメージではいました。

小野さんから、中村太郎さんの提案があって、以前舞台でお芝居を拝見したこともあったのですが、彼のイメージとして「漢らしい」と言うか無骨な感じを持っていまして。でも逆に中村さんのような雰囲気の方が、カズヤを演じてもらうと、面白いかなと思いました。

―演じていただいて、どうでしたか?

堀内:私の当初の脚本家を目指す青年の割とオーソドックスなイメージが、いい意味で裏切られましたね(笑)中村さんが演じることで、実にリアリティがあるというかいい意味で「こう言う青年いるな。」って感じれましたね。

―中村太郎さん自身にはどういう印象を受けられましたか?

堀内:最初はクールな雰囲気なのかなと思いつつ、会って話すとすごく人懐っこく、よく色々話してくれる人で、コミュニケーションを自分から積極的にとってくれて。それが現場に良い雰囲気をもたらしてたと思います。

―衣装についてはいかがでしょうか?

小野:監督からつなぎぽいもののイメージがありまして。実際に衣装合わせで着て頂きすごくしっくり来ていたのでご本人たちも割と気に入って頂いてたと思います。

また、メガネも最初はするつもりがなかったのですが、中村さんのご提案で試してみたらとてもしっくりきましたね。より「カズヤ像」に近づいたポイントの一つだと思います。

―撮影中、中村さんから提案とかありましたか?

堀内:よく覚えてるのはカズヤとケイゴのシーンで、ケイゴが割と本音を吐露するシーンでカズヤが一言ぼそりと言うセリフがあるんですが、それを出すタイミングや言い方の提案があり、本番で試して見た所とてもしっくり来ましたね。

そして、編集時に中村さんのアイディアを思い出して、さらにそのセリフのカットを脚本時とはガラリと変えて繋げました。するとさらに、カズヤの心情が表現出来るようになって。あの提案は、有り難かったですね。多分、視聴者の皆さんにも、見てもらえると、ここかな、って思ってもらえるとこですよね。

―上田堪大さんについてはいかがでしょうか?

小野:今回、本編と連動している特別番組の中でもご本人がお話ししていましたが、色々なタイミングの都合で、上田さんにケイゴをお願い出来たのが、撮影日にかなりに近いところだったんです。

堀内:それによって、準備期間がない中でセリフを入れるだけでも大変なのに、時間のない中、役を掴むために真摯に取り組んでいただきましたね。

小野:現場ではもともと親交のある中村さんが「カズヤ役」ということもあり、二人の呼吸がすぐ合っていたのでさすがだな、と思いました。

―上田さんにケイゴ役をお願いした経緯は?

小野:もともと別の現場の舞台役者の方々から何度か「頼れる兄貴的な存在」として上田さんのお名前を聞いたことがあり、また私自身も一度短期間でしたが配信イベントでご一緒した事があったりまして。カズヤが心の中で尊敬している節がある「the男の先輩」という役所に合っているなと思いご相談致しました。

―上田さんからも撮影中に動きのご提案などありましたか?

堀内:はい、いくつかありましたが特に印象的なのはショーゴと出会うところですね。脚本では隣に座る予定でしたが、上田さんから「少し離れて、立ったままの芝居」の提案あって。ケイゴのちょっと気弱な部分が出せて上田さんが自身で役を掘り下げてくれたお陰ですね。

あの、掃除機のシーンはアドリブですか?

堀内:はい(笑)
上田さんには「とにかく自分の自慢話を聞かせるために掃除機で邪魔して」とだけ伝えました。

―では、タクヤ役の加藤将さんですが印象などいかがでしょうか。

堀内:タキシードが似合うだろうなと思ったのが、まず初めにありましたね。
あとすごいおちゃめな元気な人なんだって思って面白かったですね。番組撮影の際見ていたんですが、スタッフ全員笑いをこらえるのにかなり必死でした。

撮影中はやはりタキシードがすごいびしっと決まっていてギャップがありましたね。

タクヤ役を加藤さんにお願いした経緯は?

小野:まず「現在人気の映像俳優」という事だったのでビジュアル面ではスラっとしていて活気や活力がある印象がある方が良いなと思っておりまして。以前一度コメディドラマでご一緒した事があったのですがシュールな笑いやシリアスからハツラツとした演技を拝見してその時の加藤さんの印象からイメージにぴったりだなと思いご相談しました。

―衣装についてはいかがですか?

小野:相方のトクダ役小南さんもご一緒に衣装合わせが出来ましたのでインナーの色やタキシードの色はどちらがいいかなどお二人と監督と相談しながらあわせられたのでバランスよく決められたかと思います。また何着か衣装部さんにタキシードを用意してきて頂いたのですがお二人とも手足が長く、たしか丈を調整した記憶があります(笑)

堀内:白か黒かをなんとなくどっちがどうするかっていう話をしたけどわりとすんなり決まったかな。

―本読みなどはいかがでしたでしょうか?

堀内:加藤くんと小南君が一番初めの撮影でしたが色々かみ砕いてきてくれて会話がかなりスムーズだった記憶がありますね。「タクヤ」の存在についてまず最初に聞いてくれて個人的な見解を聞いて、それに対して私の意図をお話すると「やっぱりそうか・・・」と更に深く考えてくれていました。現在の時間軸に登場はしないタクヤがトクダに対してどんな思いがあったかなど、直接描いてはいない「見えない時間」の部分についてディスカッションしましたね。

―番組がとてもにぎやかだったと伺いました。

小野:はい、加藤さん小南さんがこちらも最初の撮影だったのですが爆発力が凄くてスタッフやマネージャーさん含め、かなり笑いをこらえるのに必死でした。皆さんにも期待していただけると思います。

―現場では如何でしたか?

小野:堀内さんが「ここは劇中劇のように」「もっと舞台演劇っぽく」などディレクションをされていた際「舞台」のお芝居と「映像」のお芝居ですぐに転換されていたのが印象的です。イマジナリーとして出てくるシーンが多かったりするのでその辺の雰囲気の使い分け等が注目ポイントだと思います。

それでは引き続き3名についてお伺いします。
―小南さんはいかがでしたでしょうか?

堀内:こちらも小野さんと相談して提案してもらったんですけど小南君は色々含めて3作品ぐらいご一緒して、よく知ってるんですけど、今まではどっちかというと等身大の若者の役が多かったのですがこういう落ち着いているというか、「大人びた先輩」的な配役も面白いかなと思ってお願いしたんです。以前は「チョコレート戦争」という作品で2年ぶりくらいの撮影でしたけど。久しぶりにお会いして、何かすごく落ち着いていて。そこにまずビックリしましたね。(笑)
あの小南くんがビシバシ加藤君につっこんでいっている!と。

小野:最初にご一緒したときからかなり年月もたって大人っぽい役でいかがですか?とご提案しました。節目節目でご一緒はしていたので、その際にご自身が「先輩と呼ばれるようになり後輩ができるようになってきて…」というお話をされていて。今回の役どころも後輩と先輩とのお話が主軸となるので、タイミングは良かったのかななと思いました。

現場ではいかがでしたか?

堀内:映像の現場の経験が他のキャストさんより多めな分、すんなり理解してタイトなスケジュールもこなしてくれました。時系列の整理なども読み合わせで、すぐ聞いてきてくれて、逆にこちらが混乱する時も彼がすぐ整理してくれました(笑)

現場でも特別番組でも小南君が加藤君にツッこんだり教えてあげている光景が幾度と会って、その光景が面白かったですね。前までは、自分が周りの先輩にツッコまれてるような印象だったので。大人になったなぁと(笑)

―衣装についてはいかがですか?

小野:もちろん衣装さんもいたのですがモデルをされていた事もあり「正しいタキシードの着方」等を現場で教えてくださったり、さすがという感じでした。

橋本真一さんはいかがでしたでしょうか?

小野:今回ショーゴは割と当初からトリッキーな役と監督からきいていて聞いていて。第一印象として側面的にでもキラキラオーラが出せそうな方を。そして「若くも見えるししっかりした大人にも見える」というのと、なにより独特な緩い配信もしつつしっかりバックグラウンドもあって…なので役の振り幅が一番大きい役どころで、そういったレンジを出せそうな役者さんをと思い橋本さんにお声がけさせて頂きました。

監督は実際にお会いしてみていかがでしたか?

堀内:小野さんが言うように対面で初めて話して挨拶した時はすごくキラキラしてるというか、元気なところもあるけど、じっくり話すと大人というか、もちろん大人なんだけど(笑)自分の考えをすごくしっかり持ってて、役に対しても真摯に向き合ってくれて。クレバーな人だなという印象を持ちました。

―ご自身のお考えがしっかりある。との事で、現場では何か提案等ありましたか?

堀内:沢山案は出してくれて、というかこちらのオーダーに答えてくれる信頼もあってショーゴを作るうえでの「ショータイムポーズ」とか配信の「ノリ」みたなものは橋本くんに提案してもらってものを実際やってもらって「はい、OK」という感じでしたね!変顔や一発芸みたいなものも含めて。脚本の段階より、彼の内面から出る誠実な部分によってキャラの軽薄さみたいなものはいい意味でなくなったかなと思いました。

ただのおバカな人じゃないみたいな。橋本くんが実際に演じて最終的に形になりましたね。

ショーゴの衣装等についてはいかがですか?

小野:ネタバレっぽいですけどショーゴはちょっと先の人なので時代感でいう今っぽい「ベストとシャツにタイトパンツはいかがですか?」というお話をスタイリストさんとしました。かといって年齢層にもあいつつ、所謂量産型っぽくならないように落ち着いた雰囲気が出せるように、あと松田さん演じる「ハナダ」との掛け合いのシーンがあるので対照的に少しラフ目でかわいく、色味も対照的になるようにとお話しましたね。

堀内:彼もタキシードも似合いましたね。本編ではお見せ出来るシーンが他の方より少ないのがもったいないくらい。

こだわりのシーン等ありますか?長まわしのシーンが山場だったと伺いました。何故長まわしにしたのでしょう?

堀内:長回しのシーンは、顔が見えない状態で初対面の二人が食い違ったままやり取りするので、ここはカット割らずに一連で見せたいなと。お二人が良い空気間を作ってくれました。

―ショーゴのShowTimeでのユニークな台詞(リス食いや右足左足など)は脚本ですが?

堀内:はい、そこは脚本に忠実にやってもらいました(笑)

そういえば、脚本には「白目をむく」にしてたけど橋本君が白目が苦手で逆に「より目」とかの方が良さそうだね、ってその場で相談しながら決めましたね。

小野:ショーゴは唯一この物語場で他者とのつながりが最初からあるキャラクターではないので「スパイスになるように」と心がけていると仰ってましたね。

―松田さんについてはいかがでしょうか?

小野:ハナダは一見まともそうにみえるといいますか、スッとした出で立ちの方で考えていまして。堀内さんからはある程度「しっかりした大人の男性」に見えるという希望がありました。以前、松田さん主演の舞台を拝見した際、厳格なキャラクターを演じられていたのですが他の映像作品も拝見していまして。シリアスとコミカルな演技との触れ幅が必要でしたのでお任せできると思い松田さんにお願い致しました。

あとやはり「スッ」とされていて、ぜったいに役者やってたでしょ!というルックスも必要でしたので。

堀内:お会いした時に色々お話さてもらって、語弊がないように捉えてほしいんだけどすごく映像向き、映像でのお芝居に長けているというか、フレームの中でのお芝居みたいなのを意識して選んでやってくれたなっていうのを感じました。ハナダのキャラもやり方ひとつでいろいろなアプローチができると思うんですけど、やりすぎないようにしつつ、尚且つあんまり大人しくならない、この微妙なところを結構相談してやりましたね。

―一人で語ったり感情的になったり混乱したり結構大きい芝居がすごく多いですね。

堀内:その中で本当リアリティがなさすぎない、かつ何か面白くあのキャラクターが出せるようなお芝居をすごく考えてくれたと思います。おかげでハナダが出てくると空気間が変わるなと見て下さる人も思うと思います。

小野:確かにそういう印象をありますね。立ち位置とかカメラ位置を確認して「こういう風に入ってきてください」っていうディレクションを監督がされてて、そこはもちろん忠実に守りつつも、例えばジャケットを舞台上で叩きつけるとか、ちょっと小走りするとかっていうそのちょっとした面白さみたいな事は意識されてたのかなと。

堀内:動きの候補やアイデアをすごくいろいろ持ってきてくれていたね。

―ちょっとネタバレになると思うんですけどハナダとトクダの役者さんを分けた理由はなんですか。

堀内:このお話を考えてる時に、分けたみたら面白いかも、と思いついて。書いてる自分の脚本の物語の中の登場人物が自分に会いに来る。時代を経て違うキャストがやる事によって何層もの話に見えるけど実は同じ層の話だったり。ここは思い切ってキャストを変えようってなりました。

小野:ここが同じ役者さんだったらもう少しひも解くのが簡単になっていましたよね。

ハナダ=トクダというポイントは後半に出てきますから。

小南さんと松田さんが同じ日に撮影すること事はありませんでしたが両者とも「あんなにイケメンじゃない~!」と同じ事を仰っていたのを思い出しました(笑)

―衣装についてはいかがですか?

小野:プロデューサーとしての衣装はギラギラしすぎずに、かといってちょっと大人しすぎずにという所で、元役者なので完璧な裏方にも見えないようなスーツを選んで頂きました。結果的にわりと俳優感もあった気もするんですけど華やかに前向きにチャキチャキしている現場にいるプロデューサーっぽい雰囲気も出してもらってたのでいいバランスになったのかなっと思います。

堀内:着る人によっては食われそうだけどめちゃくちゃ着こなしてましたよね。

―現場ではいかがでしたでしょうか。

堀内:先ほどと映像の芝居についての所で話した通りではあるんですけそ、いい感じの緊張感があり後半にいくにつれてどんどんシリアスというか、気持ちがどんどん変わっていってタクヤとの関係や新しく一緒に夢を追うショーゴとの描いていない関係性が出ていてとても緊張感を持って演じてくれたと思いますね。

―番組についてはいかがですか?

小野:アニメや漫画に詳しくてお互いクイズをだしてもらうコーナーではとても輝いていらっしゃいましたね、現場のスタッフは割と漫画やアニメを見ている人が多かったのですが本当に詳しい…!とスタッフ陣も感心&驚いていました(笑)

今回橋本さんとは初共演だったとの事でしたが、スタジオ移動中等も同世代あるあるやサッカーの話で盛り上がっていて、そのお二人の空気間が番組や演技にも現れてたんじゃないかなと思います。

―最後にひとこと視聴者に向けてコメントをお願いします。

堀内:時間軸がレイヤーのように重なって物語は進むので、複雑なお話のような見え方も出来るとは思いますが、実はシンプルなイメージで作りました。それぞれのキャラクターがそれぞれと影響し合って行く物語です。何度見ても新たな発見があるとも思いますので、楽しんでいただけたら嬉しいです。

小野:今回は様々な「演劇」についてフューチャーされていて、結果的にSFといいますか、パラレルな部分があるのですが登場人物の悩みや人物像はかなり「こういう人いるな」とか「こういう悩み分かる」というリアルな部分もあってそのバランスが面白いのではと思います。最後まで見ても「?」と思う方もたくさんいらっしゃると思うので、少し分かりやすくするならばAの年代トクダ&タクヤ・Bの年代カズヤ&ケイゴ・Cの年代ショーゴ&ハナダ(Aから古い)がBの年代に搬入口を通して集り一つの物語が完成していく、ラストはCの年代で終わると整理してみて頂けると分かりやすいかなと思います。過去と未来が現在を作って未来が現在になっているという構造です。配信番組などもまだまだありますのでこのコンテンツを楽しんで頂ければ幸いです。

インタビュアー:杉田

逃げた花嫁
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